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労働条件の不利益変更

就業規則・労働協約締結・その他の不利益変更

労働条件の不利益変更(賃金の減額、退職金の減額・廃止、労働時間の延長など)には、就業規則の変更によるもの、労働協約の締結によるもの、労働者の同意によるものなどが考えられます。

1. 就業規則による不利益変更

Q.一方的に賃金の引下げを申し渡されました。就業規則を改定したとのことですが、そんな話は初めて聞きました。差額を請求できないでしょうか?
A. 就業規則は使用者が定めるものですが、労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されません。ただし、その内容が合理的なものであれば、変更に同意しない労働者も拘束します。

 

(1)就業規則変更の手続的義務

就業規則を変更する場合、労働者の意見を聴いた上で労働基準監督署に届け出、さらに変更後の就業規則を労働者に周知させねばなりません。これらのことを怠ると、変更が認められないこともあります。
 

(2)法令・労働協約違反

変更後の内容が、法令や労働協約に違反していれば、無効です。
 

(3)変更の合理性

変更には、合理性が必要です。賃金・退職金など重要な労働条件に関する変更は、労働者の受ける不利益も大きくなるので、より高度な合理性が求められます。

合理性を判断するための具体的な基準は、以下の通りです。

不利益変更の合理性判断の7要素
以上の要素を総合考慮して判断することになりますが、中でもポイントになるのは、使用者側の変更の必要性(の内容・程度)とその変更により労働者が被る不利益(の内容・程度)です。
この2つを比較衡量した上で、その変更内容自体に社会的相当性があるか等を加味することになります。

 

2. 労働協約締結による不利益変更

(1)組合員に対する不利益変更
労働組合は組合員の労働条件について使用者と団体交渉を行い、その合意した内容を書面化することができます。この組合員の労働条件を書面化したものを労働協約といいます。

労働組合法16条は、この労働協約に規範的効力を与え、労働協約の内容に違反する労働契約は無効とされます。従って、たとえ労働協約が組合員に対し不利益なものであっても、原則として拘束力を持ちます。

(2)非組合員に対する不利益変更
原則として、労働協約の適用はありません。協約より有利な労働契約が維持されます。

しかし、労組法17条により、協約を結んだ組合の組織率が4分の3以上の場合は、非組合員(少数組合の組合員を除く)にも変更の効力が及びます(拡張適用)。

ただし、非組合員にもたらされる不利益の程度・内容などから判断して、拡張適用が著しく不合理であると認められる特段の事情がある場合には効力は及びません。

(3)法令・公序良俗違反
上記(1)の場合も(2)の場合も、強行法規などに違反する労働協約の規定は、当然ながら無効です。例えば、女子若年定年制や結婚・出産定年制などです。

3. その他の不利益変更

就業規則変更や労働協約締結以外には、労働者の同意を得て労働条件を切り下げる方法があります。「同意」は、労働者の自由な意思に基づいてされたものでなければ認められません。 また、変更内容が強行法規などに違反する場合は無効となります。