ホーム>多様な紛争解決システム

多様な紛争解決システム

労働トラブル解決のための様々なシステム

ここでは、労働トラブル解決のための様々なシステムを紹介します。

  従来からのシステム 新しいシステム

(行政機関)
1.労働基準監督署
・法違反に対する指導・監督等
2.都道府県女性少年室
・助言・指導・勧告(女性少年室長)
・調停(機会均等調停委員会)
2.都道府県労働局雇用均等室
・助言・指導・勧告(労働局長)
・調停(紛争調整委員会)
3.都道府県労働局
・情報提供・相談(総合労働相談コーナー)
・助言・指導(労働局長)
・あっせん(紛争調整委員会)

(司法機関)
4.裁判所
・民事訴訟
・民事調停
・民事保全(仮処分)等
4.裁判所
・労働審判
地方自治体 5.労政事務所
・相談・あっせん
6.都道府県労働委員会
・労働争議のあっせん・調停・仲裁
・不当労働行為の審査等
5.労働相談情報センター
・相談・あっせん
6.都道府県労働委員会
・個別労働紛争のあっせん
民間   7.民間紛争解決機関
・和解の仲介
(1)労働基準監督署

厚生労働省の各都道府県労働局の管内に複数設置された出先機関です。
名前のとおり、労働基準法等に定められた最低労働基準が守られているかどうかを監督することが、主な業務です。賃金の不払いなど法律違反が明らかな場合には、会社に対して行政指導(是正勧告)を行います。ただし、不払い賃金等を強制的に取立てる権限はありません。刑罰(賃金不払いなら30万円以下の罰金) による威嚇の下に、自主的に法違反が改善されることを求めるだけです。
また、明確な法違反を伴わない民事的な紛争(=私人間の権利義務関係に関する争い)については、基本的に介入しません。
 

(2) 都道府県労働局雇用均等室(旧:都道府県女性少年室)

都道府県労働局の一部門として各都道府県の県庁所在地に設置。
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法およびパートタイム労働法に関する相談(性差別やセクハラなど)に応じるとともに、必要に応じて会社に対し行政指導を行います。
 

(3)都道府県労働局

厚生労働省の地方支分部局(国の行政機関の地方出先機関)の一つで、各都道府県の県庁所在地に設置されています。
労使間の紛争が増加したことを受け、厚生労働省(当時は労働省)は従来の民事不介入の立場を変更し、都道府県労働局長(当時は都道府県労働基準局長)が、トラブルの早期解決のための助言・指導を実施することになりました(平成10年10月)。

さらに、個別的労使紛争を簡易・迅速に処理する総合的システムが必要だということで、平成13年10月には個別労働紛争解決促進法が施行されました。これによって、以下のように複数の解決援助サービスが選択できるようになりました。

■総合労働相談コーナーにおける情報提供、相談
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局(総務部企画室)だけでなく、主要労働基準監督署庁舎内や主要都市の駅周辺ビルにも出先機関があります(全国約300か所)。
労働問題に関するあらゆる相談に対応し、情報提供を行うワンストップサービスです。

■都道府県労働局長による助言・指導
都道府県労働局長が、紛争当事者に対し、問題点を指摘し、解決の方向性を示唆することで、当事者が(あくまで)自主的に紛争を解決することを促します。

■紛争調整委員会によるあっせん
各都道府県労働局(総務部企画室)に設置されています。
公平・中立な第三者としてあっせん委員(学識経験者)が、紛争当事者の間に入り、双方の主張の要点を確かめ、その調整を図り、相互の歩み寄りにより、紛争の解決を図ります。
 

(4)裁判所

言わずと知れた、紛争解決のための最終的な機関。判決を得るまでの時間的・金銭的コストや精神的負担、「対決型」のシステム内容などを考えると、労働紛争についてはなかなか利用しにくいかもしれません。以下の種類があります。

■民事訴訟
裁判官が、当事者双方の言い分を聞き、証拠を調べた上で、法律に照らして判決を下します。紛争の対象が金額140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所、それぞれで取り扱われます。
訴訟の途中で話合いにより解決することも可能です(和解)。
判決書または和解調書に基づき、強制執行を申し立てることができます。
また、60万円以下の金銭の支払を求める場合、原則1回で審理が終了する少額訴訟という特別な民事訴訟手続もあります(簡易裁判所)。

■支払督促
申立人の申立てに基づいて簡易裁判所の裁判所書記官が金銭の支払を督促します。書類審査のみで行う迅速な手続です。

■民事調停
裁判官と2名以上の調停委員(一般人)から構成された調停委員会の仲介によって、当事者同士の話合いによる紛争の解決を図る手続です(簡易裁判所)。

■民事保全(仮差押、仮処分)
保全手続とは、本案訴訟(通常訴訟)による権利の実現を保全するために、裁判所が簡易迅速な手続で、暫定的・付随的に一定の保全措置を命じる処分です。民事事件全般に利用されるものですが、労働事件にもよく用いられます。

■労働審判
平成18年4月に労働審判法が施行され、労働審判制度がスタートしました。労働審判官(裁判官)と2名の労働審判員(労働専門家)から構成される労働審判委員会が、原則3回以内の期日で調停や審判による解決を図ります(地方裁判所)。
 

(5)労働相談情報センターなど(旧:労政事務所)

各都道府県(地方自治体)の出先機関。
地域の実情に応じた労働相談を行っています。さらに、要求があれば簡易なあっせんの実施等による解決も行います(埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県、大分県)。
 

(6)都道府県労働委員会

労働組合法に基づき設置された三者構成(公益委員・労働者委員・使用者委員)の行政委員会。各都道府県が設置する都道府県労働委員会の他に、厚生労働省の外局として中央労働委員会があります。
従来は、集団的労使紛争(労働組合が絡むもの)のみ取り扱って来ましたが、個別労働紛争も対象に入れ、あっせん等の紛争解決処理を図るようになりました(東京都、兵庫県、福岡県を除く)。
 

(7)民間紛争解決機関

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)が平成19年4月1日から施行されました。法務大臣から認証を受けた民間事業者が和解の仲介業務を行います。

以上、企業外での紛争処理システムを紹介しましたが、企業内での解決、すなわちトラブルを不満・苦情の段階で未然に防止する、労使での自主的な解決に努めるといったことも、前段階として忘れてはいけません。

  行政機関 労働委員会 労働審判 裁判所
利用のしやすさ    
スピード    
熟練度    
強制力