ホーム>特定社会保険労務士ブログ

特定社会保険労務士ブログ

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況

朝日新聞の記事はご紹介しましたが、こちらは千葉労働局発表の報道資料です。
http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/chiba-roudoukyoku/houdou/houdou333.pdf
重点監督を実施した93事業場のうち、86%に当たる80事業場に何らかの労働基準関係法違反があり、是正勧告書を交付したそうです。

「ブラック企業」やっぱり悪質

今日の朝日新聞夕刊からの引用です。

若者の使い捨てが疑われる「ブラック企業」対策として厚生労働省が9月に実施した集中調査で、対象の8割超の4189事業所で労働法令違反が見つかった。社員の7割を「名ばかり管理職」にして残業代の支払いを免れる、といった違法残業や賃金不払いが多かったという。
厚労省が17日発表した。ハローワークへの相談や投書、離職率の高さなどを手がかりに、法令違反が疑われる5111事業所を労働基準監督官が調査した。
主な違反は、違法残業が2241件(全体の43.8%)、残業代などを払わない「割増賃金違反」が1601件(31.3%)など。違反の疑いが濃い事業所が対象の調査のため、通常の調査よりも、違反率が高い傾向になったという。
業種別では、飲食業や運送業などで、より違反率が高い傾向がみられた。
厚労省は、違反企業には是正を求めた。正社員の7割にあたる係長以上を権限がないのに残業代の出ない「管理監督者」にしていた事業所には、総額120万円を支払うよう求めた。約1年分の基本給の支払いが遅れ、賃金がほとんど未払いになっていた事業所には総額900万円の支払いを求めた。悪質な企業は年明けにも書類送検し、社名を公表する。
厚労省は 当初、4千事業所を調べる予定だったが、9月1日に開設した電話窓口に多くの情報が集まるなどしたため、対象者を増やした。
飲食業や主な 

「労契法」「高年法」改正前後の企業実態調査

公益社団法人全国求人情報協会が、「労働契約法」「高年齢者雇用安定法」改正前後の実態について、人事採用担当者にアンケート調査を実施し、その結果を発表しています。
1. 労契法は8割、高年法は7割の企業が見直しを図るが、具体的対応はまちまち。
2. 労契法は、契約更新の厳格化や抑制ばかりでなく、正社員登用の活用や新設などの対応も進む。
3. 高年法では、全世代の報酬の見直しが進み、新卒や中途採用の抑制は限定的。
以上のような特徴を挙げています。 
http://www.zenkyukyo.or.jp/info/?itm=16

反貧困

湯浅誠さんの著作『反貧困 ―「すべり台社会」からの脱出』から引用しておきます。

先駆けて警告を発する者たち(増加する野宿者やフリーター、非正規労働者のこと)を自己責任で切り捨てているうちに、日本社会には貧困が蔓延してしまった。最近になってようやく、切りつけていたのが、他人ではなく自分の手足だったことが明らかになってきた。野宿者が次々に生み出されるような社会状況を放置しておくと、自分たち自身の生活も苦しくなっていく。労働者の非正規化を放置し続ければ正規労働者自身の立場が危うくなる、と気づき始めた。しかし同時に、今度は「生活保護受給者がもらいすぎている」「給食費を払わない親がいる」と、依然として新たな悪人探し、犯人探しに奔走してもいる。
手近に悪者を仕立て上げて、末端で割り食った者同士が対立し、結果的にはどちらの利益にもならない「底辺への競争」を行う。もうこうした現象はたくさんだ。また同じことを繰り返すのだとしたら、私たちはこの10年でいったい何を学んだのか。 
 
2013122122053.jpg

勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査(勤労者短観)

以前、概要をお知らせした連合総研の第26回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート(勤労者短観)」ですが、詳細な調査報告書が発表されました。
http://rengo-soken.or.jp/report_db/pub/detail.php?uid=250
調査結果のポイントは以下の通りです。

・景気、勤め先の経営状況いずれについても、1 年前と比べて悪化したとの認識が強い。また、失業不安は 依然として高く、賃金にも改善はみられない。
・職場で何らかの違法状態があるとの認識を示したものは3割におよぶ。
・職場で違法状態を経験した場合に行動を起こすと回答したものは44.6%である。
・20 代の4 人に1 人が自分の勤め先を「ブラック企業」だと認識している。
・勤め先を「ブラック企業」だと認識していると、働きがいに影響がある

 

離職者数の公表

昨日の朝日新聞からの引用です。

厚生労働省は2014年度から、大学生や大学院生を採用する企業に、3年以内の「採用者数」「離職者数」の公表を求める。
若者を使い捨てる「ブラック企業」に関心が集まるなか、「離職率」を、就職先選びの判断材料にできるようにするねらいだ。対象は15年春に卒業する、いまの大学3年生から。
企業がハローワークに出す求人票に、学卒で直近3年に採った人数と、そのうちで辞めた人数を書く欄をつくる。
書くかどうかは企業任せだが、離職率の極端に高いブラック企業への若者の関心は強く、「学生は数を書かない企業を敬遠するのでは」(若年者雇用対策室)という。 

自己責任

――これから解雇は増えるでしょうか。
「解雇はどんどん増やしたほうがいいと思うんです」
――えっ。
「解雇を絶対的な悪だと否定しないほうがいい。解雇できないと、新たな雇用もできないですから。いったん雇用したが最後、会社にまったく利益をもたらさなくても定年までいるというのは、これは最悪「ですからね」
――おっしゃっている解雇の基準は、「仕事ができない」ということですね。
「会社を繁栄させるには、仕事ができる百人力の人にいていただき、その逆のマイナス百人力の人には去っていただく。これは常にしていかないといけない。そのためには人の評価というものが非常に重要なのです。それを国が制度かなんかで邪魔してもらったら困る。日本が戦後ここまで豊かになったのは、企業ががんばってきたからです。その企業を殺すようなことをしてはいけない。働く人にとっても、仕事を変わることでまったく別の才能が開く、ということもあるはずです」
――「解雇ルールの明示」は、ずっと思っておられたことですか。
「そうです。だいたい、雇用する権利はあるけれど、解雇する権利はないなんて、おかしいことだと思いますし、解雇によって新たな雇用が広がる可能性が十分にあります」
――いえ、会社に解雇権がないということは、労働組合を含めて誰も言っていないわけで、言っているのは「不当解雇があってはダメだ」ということであり……
「不当解雇って、なんでしょう?」
――邪な心で解雇することです。
「たとえば、どのようなことですか?」
――内部告発への報復で解雇をする、とか。
「きちんとした会社は、そのような法律違反はしません」
――いや、実際にしています。
「では、それはまともな会社ではないわけです」
――労働組合を作ったら見せしめに解雇する、とか。
「いまどき、労働組合を作るという、そのような話はないと思いますが……」
――基本的にはもう労働組合は必要ではない、これからは会社対個人の時代だというご発言をしておられますが、会社と個人は対等でありえますか。
「どうしてでしょう? 辞める権利はあるし、入社しない権利もある。お願いしますといって、来ていただいたわけじゃない。いやだと思ったら、いつでも辞められるでしょう。日本はまだ豊かな国です。いくらでも勉強する機会がある。そして能力をつければ、いくらでも働く場所があります」
(途中省略)
――最後に、労働の安定とは、やはり雇用の期間が安定していることだと思うのですが。いつ切られるかわからないという状態では、安心して働けないのでは。
「私はそもそも安定したものはないと思っています。あした安全だという保証はない。極端な話ですが、地震が起こるか、車がぶつかってくるか、わからないわけです。安定を望むなら、それを企業に求めるのではなく、やはり自分の努力です。それしかありません。私も下手をすると明日でもつぶれるかもしれないと思って企業経営しています。個人も自己責任でがんばる。みんな自己責任で相競いましょう。そして、そこから一人立ちできない人は、豊かな社会が助けてあげましょう、と。過激なことを申しあげるかもしれませんが、私にとっては普通の話です」
――そういうお気持ちを持たれたのは、いつからですか。
「子どものときからです。私は昭和10年生まれ。10歳のときに終戦を迎え、天皇陛下バンザイが、一日で、マッカーサー万歳になったんです。国なんて信用できない、自分の足で立たなければと、そのときに思いました。私の原点はそれです。国はつぶれる、会社もつぶれる。個人がしっかりしなければならない。みんなが一人ずつ自分の足で立って、自己責任で、自由闊達にやろう。そして、もっと世界へ貢献する国民にならないと。それが、日本社会の中でクリンチ(取っ組み合い)している」

「ルポ 解雇 ―この国でいま起きていること―」のクライマックス、総合規制改革会議議長の宮内義彦氏へのインタビュー場面です。
インタビューの前半に「鉛筆型の人事管理」(日経連が1995年に発表した「新時代の日本的経営」の原形のようなもの)についての話があって、そこも大変興味深いのですが、字数の都合でカットしました。
労働の現場の状況がわかってないという欠点がありますが、大変重みのある意見であることは確かで、これを乗り越えるには、労使の関係、そして社会がどうあるべきかについてのヴィジョンを対案として示す必要があると思います。 

ルポ 解雇

島本慈子さんの「ルポ 解雇 ―この国でいま起きていること―」を読了しました。
この本は2003年10月に発行されたものなので、今となってはちょっと古いかなとも思いましたが、2003年6月の労基法改正で解雇ルール(解雇権濫用法理)が法律上明文化された際、労働政策審議会・労働条件分科会の審議を経て発表された法案の段階では、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」というものであったのが、猛反発を受けた結果「解雇することができる」という文言が削除されたという経緯を確認でき、とても有意義でした。
また、この本のクライマックスは、規制緩和推進の本丸とも言うべき総合規制改革会議議長の宮内義彦氏へのインタビューの場面なのですが、それについては、かなり長くなりそうなので次の記事で改めて述べることにします。

20131211192841.jpg

 



20131211192841.jpg20131211192841.jpg20131211192918.jpg20131211192841.jpg