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共感経済、共感経営

朝日新聞「経済気象台」(社外の経済人、学者らが執筆する欄)からです。
 
「ビジネス・フォー・パンクス」という本を読んだ。これがめっぽう面白かった。スコットランドのクラフトビール会社ブリュードッグの創業者ジェームズ・ワット氏の著書だ。
若者2人が2007年につくったこの会社は設立8年で売上高80億円に急成長した。彼らは1970年代に音楽の世界を大きく変えたパンクロックの精神を会社経営に採り入れたという。パンクの本質はモノゴトを自分の流儀でやるために必要なスキルを身につけることだと言い切り、権威と常識に逆らいながら商品開発にこだわり、過激なマーケティングを実践し続けている。
パンクを標榜する一方で、財務の重要性を意識して自ら財務知識を習得、徹底したキャッシュフロー経営を実践する。資金調達方法も独特だ。クラウドファンディングを通じてパンク株と呼ぶ独自の株式を発行し、20億円以上の資金を集めた。出資者はすでに4万人という。
1口95ポンドの株主になると特典がある。ブリュードッグのオンライン店舗で死ぬまで20%割引でビールが買える。ブリュードッグが展開する全てのバーで死ぬまで10%割引で飲める。ブリュードッグの伝説的年次総会に毎年ご招待など。写真を見ると年次総会はまるでパンクロックフェスのような熱気。株主は単なる出資者ではなく同社の伝道師集団であり、同社の経営の本質は顧客創造ではなくファンづくりなのだそうだ。
この会社を支える人々はおいしいビールを求めているだけではなく、彼らの哲学に賛同し応援している。まさに共感経済の時代の申し子といえる。成熟市場であるビール業界に風穴を開けた彼らの事業活動の在り方に学ぶことは多い。

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