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2017年10月

基礎研究の「氷河期」 博士号とっても就職難しく

これものっぴきならない問題です。朝日新聞「東洋経済の眼」から。
 
今年のノーベル賞は残念ながら日本人の自然科学系での4年連続受賞はなりませんでした。日本では毎年秋、ノーベル賞をめぐり、国を挙げて大はしゃぎしますが、そんな風物詩が過去の遺物となる日は近いかもしれません。
ある私立大学の薬学部教授に聞いた話です。心臓や肝臓の位置が分からない、動脈や静脈の文字が書けない、そんな学生が薬学部に入ってくることが最近は珍しくないそうです。ただし、学生側にも言い分があって、入試科目に生物を課す薬学系大学が少なく、教授によると、「受験になければ高校も非常勤講師で間に合わせている」のだそうです。合格実績という目先の利益を優先している様子がうかがえます。
一方、2004年の国立大学法人化で運営費交付金が徐々に減らされた結果、短期の成果を求める風潮は、研究環境が恵まれている東京大学にも及んでいます。10月に国の財政制度等審議会で五神真・東大総長がプレゼンテーションした内容は示唆的でした。
東大での修士から博士課程への進学率は01年に42%だったのが16年には26%まで低下。背景には、若手研究者の雇用の不安定化があると見られます。博士号取得後のポスドク(博士研究員)の受け皿である大学教員のうち、身分が安定しない「任期付き」が東大全体で6割超にも上るというのです。
これでは、大学院で基礎研究を深めるより、応用研究が中心の民間企業への進路を選ぶ学生が増えるわけです。今後、日本の基礎研究にとって、じわりと響くダメージになるはずです。

佐川急便でも賃金未払い

調べれば必ず見つかるので、必要以上に調べたくはないのでしょう。朝日新聞から。
 
佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)は27日の2017年9月中間決算会見で、全ドライバー約3万人を対象にした調査で、賃金の未払いが見つかったと明らかにした。対象人数や未払い額は、「経営への影響は軽微」として開示しなかった。未払い分は決算に計上済みで、今後、ドライバーに一時金として支払う。
同社は東京証券取引所に上場を申請中で、厳格な法令順守が求められる。中島俊一取締役は「必要なレベルの対応はすんでいる」と述べるにとどめた。
同社では、都内の営業所で、昼休みに働いた社員にその分の賃金を払っていなかった疑いが浮上。同種の事案がないか、8月から社内調査をしていた。ただ、調査は原則として過去1年分にとどまる。残業に対する未払いの有無は調べていない。宅配業界では、最大手のヤマトHDで約5万9千人分、計約240億円の未払いが見つかっている。

労使関係セミナー in 都庁

27日に、中央労働委員会主催、東京都労働委員会共催の「関東地区労使関係セミナー」に出席しました。
 
基調講演
「働き方改革の今後の課題について ~同一労働同一賃金の実現と長時間労働是正への道筋~」水町勇一郎教授
パネルディスカッション(紛争解決事例の検討)
(1)集団労使紛争 派遣社員の契約終了をめぐって争われた事例
(2)個別労働紛争 時間外手当の支払等を求めて争われた事例
 
水町教授から「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の解説がありました。裁判では、正規・非正規間の待遇差の不合理性の判定に関して、個々の待遇ごとに判断するのか総合的に判断するのかが分かれていますが、この法改正により個別に判断されるべき旨を明確化するとのことです。
 
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メディアの労働実態調査を要望

朝日新聞からです。
 
過労死や過労自殺の防止策を話し合う厚生労働省の協議会が26日、開かれた。過労自殺した電通の新入社員(当時24)や過労死したNHK記者(当時31)の遺族側代理人で、専門家委員を務める川人博弁護士が、メディア業界の長時間労働について詳しい調査をするべきだと訴えた。
協議会は、2014年に施行された過労死等防止対策推進法に基づいて設けられ、過労死の遺族や有識者らが同法の運用状況などをチェックしている。
川人氏は「広告代理店、新国立競技場など様々な現場で過労死が発生し続けている。『過労死防止、どこ吹く風』という職場がたくさんあるのが実感だ」と指摘。そのうえで「広告代理店やテレビ、新聞、出版などのメディアでは長時間労働が問題になっており、社会的影響も大きい」と述べ、メディアの長時間労働の実態を詳しく調査・分析するよう求めた。

第1回労働審判期日

トピックスでも触れましたが、東京地方裁判所における労働審判申立事件の第1回期日に同行しました。事前に上申書を提出し相手方との同席を求めましたが、許可が下りず、待合室での待機となりました。

二審もさいたま市に賠償命令

時事通信からです。
 
さいたま市職員だった男性(当時41)が自殺したのは、指導係によるパワハラが原因だとして、両親が同市に約6,600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、市に約1,320万円の賠償を命じた一審さいたま地裁判決を変更し、約1,920万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2011年4月からさいたま市の西部環境センターで勤務していたが、指導係の先輩職員から脇腹に暴行を受けるなどのパワハラを受け、うつ病が悪化。同年12月に自殺した。
裁判長は「男性からパワハラの報告を受けた上司が適切に対応していればうつ病が悪化することはなく、自殺は防げた」と述べた。

共感経済、共感経営

朝日新聞「経済気象台」(社外の経済人、学者らが執筆する欄)からです。
 
「ビジネス・フォー・パンクス」という本を読んだ。これがめっぽう面白かった。スコットランドのクラフトビール会社ブリュードッグの創業者ジェームズ・ワット氏の著書だ。
若者2人が2007年につくったこの会社は設立8年で売上高80億円に急成長した。彼らは1970年代に音楽の世界を大きく変えたパンクロックの精神を会社経営に採り入れたという。パンクの本質はモノゴトを自分の流儀でやるために必要なスキルを身につけることだと言い切り、権威と常識に逆らいながら商品開発にこだわり、過激なマーケティングを実践し続けている。
パンクを標榜する一方で、財務の重要性を意識して自ら財務知識を習得、徹底したキャッシュフロー経営を実践する。資金調達方法も独特だ。クラウドファンディングを通じてパンク株と呼ぶ独自の株式を発行し、20億円以上の資金を集めた。出資者はすでに4万人という。
1口95ポンドの株主になると特典がある。ブリュードッグのオンライン店舗で死ぬまで20%割引でビールが買える。ブリュードッグが展開する全てのバーで死ぬまで10%割引で飲める。ブリュードッグの伝説的年次総会に毎年ご招待など。写真を見ると年次総会はまるでパンクロックフェスのような熱気。株主は単なる出資者ではなく同社の伝道師集団であり、同社の経営の本質は顧客創造ではなくファンづくりなのだそうだ。
この会社を支える人々はおいしいビールを求めているだけではなく、彼らの哲学に賛同し応援している。まさに共感経済の時代の申し子といえる。成熟市場であるビール業界に風穴を開けた彼らの事業活動の在り方に学ぶことは多い。

雇用に似た働き方、厚労省実態調査へ

これも新たな問題です。朝日新聞から。
 
インターネットを介して仕事を請け負う「クラウドソーシング」やフリーランスなど個人事業主らの働き方について、厚生労働省が実態調査に乗り出す。「柔軟な働き方」などと注目されているが、雇用者でないため最低賃金が適用されないなど、労働者保護の仕組みから外れている。当事者からのヒアリングなどを通じて課題をあぶり出し、法整備の必要性を検討する。
個人事業主は開業医や飲食店のオーナーのような人もいれば、工事現場で働く「一人親方」やフリーの編集者など、特定の企業と雇用関係を結んでいないが、従業員のように働いている人もいる。最近はIT化が進み、ネットを介してアプリの開発や飲食店の宅配を請け負う人も増えている。
こうした働き方が広がる一方で、社会保険に加入できなかったり、不当に低い報酬で仕事を請け負ったりするといった問題も表面化しているため、厚労省はこうした働き方に関する有識者研究会を立ち上げ、24日に初会合を開いた。委員からは「保護の仕組みが追いついていない」「仕事が不安定になりがちだ」などの意見が出た。
研究会は今後、当事者からヒアリングをするなどして実態を把握し、年度内に課題をまとめた報告書をつくる。厚労省はこれをもとに議論を進め、法整備の必要性について検討する方針だ。