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2017年9月

新国立建設37社に是正勧告

五輪など開催する意味があるのだろうかと疑念すら覚えてしまいます。時事通信から。
 
東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設工事をめぐり、東京労働局は29日、工事現場に出入りする全762社の労働時間を調べた結果、37社で違法な残業が確認され、労働基準法違反で是正勧告したと発表した。
新国立建設工事では、一次下請けの男性社員(当時23)が3月に自殺。過労でうつ病を発症したと遺族が労災申請したのを受け、東京労働局が7月から調査していた。
同局によると、37社のうち、18社で月80時間の「過労死ライン」を超える違法な長時間残業が行われ、月150時間超も3社で確認された。8社は45時間以下だったが、残業時間に関する労使協定について、労働基準監督署への届け出を怠っていたという。
この37社を含む計128社は長時間労働や労務管理上の問題点が指摘され、自殺した男性の会社も監督指導を受けた。東京労働局は「国民的行事の成功のためにも、現場の安全・健康に配慮した工事が行われるよう引き続き指導を行う」としている。
 

自衛隊員自殺で国が7,400万円支払いへ

時事通信からです。
 
2006年に航空自衛隊奈良基地(奈良市)に勤務していた男性隊員(当時49)が自殺したのは長時間勤務が原因だとして、滋賀県内に住む遺族が国に損害賠償を求めた訴訟があり、国が7,400万円を支払う内容の和解が大津地裁で成立したことが29日、分かった。和解は12日付。
訴状によると、男性は06年4月から奈良基地内にある幹部候補生学校総務課に勤務。記念行事の準備や部下の監督指導などを担当していたが、同年9月に基地内の庁舎から飛び降り自殺した。直前1ヵ月間の時間外労働は約100時間だった。
国は14年11月に公務災害と認定。遺族は15年、「業務量の軽減や人員の補充を行わず、過重な労働に従事させた安全配慮義務違反がある」として、約7,900万円の損害賠償を求め提訴した。
空自奈良基地は「コメントは控えたい」(広報室)としている。

新入社員自殺「いじめ原因」三菱電機に賠償請求

朝日新聞からです。
 
三菱電機の新入社員だった男性(当時25)が自殺したのは上司や先輩社員によるいじめや嫌がらせが原因だとして、男性の両親が27日、同社に1億1768万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。両親と代理人弁護士が記者会見して明らかにした。近く労災の申請もするという。
訴状などによると、男性は昨年4月に入社。兵庫県尼崎市の通信機製作所内のソフトウェア製造技術課に配属されソフト開発を担当していた。同年11月6日に「私は自殺をします。私は三菱につぶされました」などとする遺書を書き、同月17日に兵庫県三田市の社員寮で首をつって自殺した。
同年10月の社内研修で、解き方が分からない課題について男性からアドバイスを求められた先輩社員が「質問は受け入れない」と拒否。それなのに研修後に職場で、研修内容を十分に理解していないとして男性を他の社員の前で非難したという。さらに、別の上司も男性を助けず非難したりあざ笑ったりしたと主張。こうした無責任な管理体制を放置した会社は、男性に対する安全配慮義務に違反したと訴えている。
三菱電機広報部は「訴状を確認のうえ、真摯に対応してまいります」とのコメントを出した。

「36協定」未届け企業の指導の民間委託

「36協定」未届け企業に対する指導の民間委託について、朝日新聞に懸念の声が掲載されていたので転載しておきます。
 
元労働基準監督官で社労士の原論さんは「監督業務を手厚くするとみせかけた規制緩和であり、効果はないと思う。むしろ監督官の業務にとってマイナスだ」と指摘する。
社労士は監督官のように企業が隠そうとする事実を見抜くのが本業ではない。自主点検表に企業がいい加減な回答をしても、気づかずに「問題なし」と判断してしまいかねず、違法状態を見逃すことになりかねない――。監督官と社労士の業務をともに熟知する原さんはこうした懸念を示す。
労働問題に詳しい嶋崎量弁護士は「社労士は労基署による調査の対策を企業に助言する仕事もしている。そこに労基署の仕事を委託して、監視強化の実効性が保てるのかは疑問だ」と話す。
 
専門性と中立性の2点について問題有りと見られているようです。
 

電通違法残業事件初公判、罰金50万円求刑

時事通信からです。
 
大手広告代理店電通(東京)の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社の初公判が22日、東京簡裁で開かれた。山本敏博社長は起訴内容を認めた上で、「心からおわびします」と謝罪した。検察側は電通に罰金50万円を求刑。公判は即日結審し、判決期日は10月6日に指定された。
新入社員の高橋まつりさん(当時24)の過労自殺が労災と認定されてから1年。同法違反での正式裁判は異例で、労務管理をめぐり大企業の刑事責任が法廷で裁かれるのは初めて。
冒頭陳述で検察側は「顧客最優先で深夜残業と休日出勤をいとわず全社的に長時間労働を繰り返していた」と述べ、電通の企業体質を批判した。
2014年に関西支社が労働基準監督署から是正勧告を受けた後、業務量の見直しを行わないまま残業時間に関する労使協定(三六協定)を改定したと指摘。社員は残業代が支払われないサービス残業を続けていたと述べた。
被告人質問で山本社長は「責任の重さを痛感している。ご迷惑を掛けた方に心からおわび申し上げます」と謝罪。高橋さんの自殺についても責任を認めた上で、「二度と繰り返さないことを社長としての最大の責務とする」と再発防止を誓った。
検察側は論告で「会社の利益を優先し、社員の健康を顧みない姿勢が事件を引き起こした」「問題改善と逆行する小手先だけの対応に終始した」と非難した。
起訴状によると、電通本社の部長3人は15年10~12月、高橋さんら社員4人に1ヵ月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせたとされる。同社の労働組合は社員の過半数で組織されておらず、残業時間に関する労使協定(三六協定)は無効だったが、部長3人は有効と誤信していたという。
東京地検は今年7月、同社を略式起訴したが東京簡裁は書面審理だけで量刑を決める略式命令を「不相当」と判断し、正式裁判を開くことを決めた。部長3人は起訴猶予処分となっており、裁判は開かれない。

長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言

経団連は「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を公表しています。
本宣言は、「働き方改革 CHALLENGE 2017」の一環として、長時間労働を前提とした商慣行の是正に向けた経済界の強い意志を示すとともに、各団体の加盟企業における取組みの推進を目的として取りまとめたもの。
1. 関係法令・ルーの遵守に加え、取引先が労働基準関連法令に違反しないよう、配慮する。 
2. 発注内容が曖昧な契約を結ばないよう、契約条件(発注業務・納期・価格等)の明示を徹底する。
3. 契約時の適正な納期の設定に加え、仕様変更・追加発注を行った場合の納期の見直しなどに適切に対応する。
4. 取引先の休日労働や深夜労働につながる納品など、不要不急の時間・曜日指定による発注は控える。
5. 取引先の営業時間外の打合せや電話は極力控える。
6. 短納期・追加発注・高品質など、サービスの価値に見合う適正な価格で契約・取引する。

長野県「勤務間インターバル制」試行

長野県では、働き方改革による総労働時間の短縮や職員のワークライフバランスの推進に取り組んでおり、その一環として、職員が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、健康を維持しながら生産性の高い働き方を可能とするため、仕事を終えてから次に働き始めるまでに11時間の休息時間(インターバル)を確保する「勤務間インターバル制」を試行するそうです。
実施期間は10月2日(月)から12月28日(木)までの3ヵ月間、対象は県庁、県教育委員会、企業局等の職員約1,800人。
厚労省の2015年度の調査では、勤務間インターバル制を導入している企業は2.2%だそうです。長野県では、試行の状況等を踏まえ、課題を洗い出し、本格導入を目指すとのことで、先進的な事例となりそうです。

岐阜の病院職員自殺、労災認定

朝日新聞からです。
 
岐阜県瑞浪(みずなみ)市の病院職員の男性(当時26)が3年余り前に自殺したことについて、多治見労働基準監督署(同県多治見市)が労働災害と認定したことが、遺族らへの取材でわかった。今月4日付で通知された。男性はライフル競技の選手で、国民体育大会(国体)の選手強化に向け県教委の紹介で就職したが、遺族は、業務に十分な支援がなく長時間残業でうつ病を発症したと訴えていた。
亡くなったのは長崎市出身の鈴田潤さん。遺族側代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によると、鈴田さんは2010年4月、岐阜県内で病院などを運営するJAグループの県厚生農業協同組合連合会(厚生連)に就職。12年秋の岐阜国体を控え、県教委が就職を仲立ちした。岐阜市の厚生連本所で会計や資料作成などを担当しながら、試合や練習に取り組み、国体では2種目に出場。優勝と7位入賞した。
翌13年4月、鈴田さんは県内の病院に異動。駐車券処理やOA機器修理などの日常業務のほか、月に3回ほど夜間の当直勤務にも入り、急患や来院者への対応もするようになった。
同年12月26日、鈴田さんは「体がいくつあっても足りない」などと書いた文章をパソコンに残して失踪。翌年1月8日、車の中で死亡しているのが見つかった。
遺族は業務用パソコンや当直勤務の記録をもとに、死亡前3ヵ月の残業が月107~148時間だったと主張して労災認定を請求。日によっては当直明けでそのまま翌日深夜まで働き、連続39時間の拘束に及ぶ勤務もあったとした。