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2013年12月

限定正社員、安易な解雇はダメ

今年1年間を振り返るような記事を書きたかったのですが、私にはまだまだ荷が重いので、私にとって最も印象深かった…いや、私に力を与えてくれた、以下の新聞記事を掲載しておきます。
2013年8月2日付朝日新聞からの引用です。

雇用ルールどうあるべきか 限定正社員、安易な解雇はダメ 
長期雇用の慣行を改めて、転職が活発な労働市場に変えようという議論が盛んだ。
政府も、労働市場の流動化を進めるための方策を次々と検討課題にあげている。
日本の雇用ルールはどうあるべきなのか。
菅野和夫・労働政策研究・研修機構(JILPT)理事長に聞いた。
――雇用ルールを変えれば現実は変わるのでしょうか?
「労働法は、世論の支持と労使の理解があって機能する。
長期雇用慣行は労使がつくり上げてきた。
働く側だけでなく企業側も長期雇用慣行を支持しており、裁判所はこれを反映して判断している。
若い時に人材投資をして長く能力発揮してもらう企業側のメリットは今でも大きい。
非正規労働者が増えている中でも、中核的な正社員では長期雇用慣行は揺らいでいない。
その実態がいけないと言っても、現実は動かない」
――解雇ルールを決めた労働契約法16条を変えるべきだという意見があります。
「労働契約法16条は、権利乱用の禁止という民法の一般原則を労働関係に応用したもの。
条文自体は、不合理な解雇や不相当な解雇は無効という当たり前のルール。
変更の余地はないだろう」
――整理解雇の基準への企業の不満は根強いようです。
「整理解雇は、裁判例の積み重ねの中で、(1)人員整理の必要性(2)解雇回避努力(3)人選の合理性(4)労働組合などとの協議や説明、という四つの項目に着目して判断されている。
これは、大企業の労使が石油危機以降の雇用調整の中でつくり上げた慣行や手法を裁判所が取り入れたもの。
解雇は制約されるが、広範な人事権を手にするので企業側にもメリットのあるルールだ。
『整理解雇をしやすくしてくれ』というだけでは、いいとこどりだ。
基準が明確ではないというが、事案に応じた具体的な判断とならざるを得ない」
――政府の規制改革会議は、勤務地などが限定された「限定正社員」の普及を提案しています。
そのルールは必要でしょうか。
「社員区分をどうつくって、どう処遇するかは、労使が決めること。
国が決めることではない。政府の役割は、好事例を調査して情報を提供することだ。
多様な正社員をつくることは、正規・非正規という労働市場の二極化を是正する視点からも大きな政策課題であることは確か。
多様なキャリア選択ができる労働市場を、官民協力して作り上げてゆくことが大事だ」
「限定正社員にも労働契約法16条は適用される。
勤務地が限定された正社員でも、働いていた支店がなくなったからといって、当然のように解雇できるわけではない。
他に異動できるか、本人の希望や適性も踏まえながら検討しなくてはいけない。
解雇ルール自体を、地域限定の有無で異なるものとするようなことは乱暴だと思う」
――解雇の金銭解決制度は必要でしょうか。
「解雇紛争については、行政のあっせん制度と労働審判があって、裁判になる前にうまく解決されている。
行政のあっせんは非常に早く金銭で解決している。
労働審判はもう少し丁寧だが、裁判よりも早いし、大部分が金銭解決になっている。
これは、事実上、金銭解決の仕組みがあるといってもよい状況だ。
裁判になっても判決までいくとは限らないので、その場合に備えて新たに金銭解決の制度をつくる必要性は乏しいと思う」
「金銭解決の制度は、技術的にも難しい。
解雇が無効とされてから金銭解決を労使が申し立てる仕組みだと、時間がかかる。
解雇無効判決と金銭解決の申し立てを同時にできるようにしても、企業が「もし無効ならば金銭解決してください」と弱みを見せるだろうか。
一番難しいのは金額の基準。
解雇の理由も企業規模もいろいろあり、妥当な基準を作るのは難しい」

第13回大佛次郎論壇賞

第13回大佛次郎論壇賞(朝日新聞社主催)は、以前当ブログでも紹介した今野晴貴さんの「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」に決まったそうです。
おめでとうございます。
この本が優れているのは、若年労働問題を、単なる個人の問題(=「自分勝手」「気まま」な意識の問題)としてではなく、企業の側の問題、そして社会的な問題としてとらえ、その起源、影響、対策を考察しているところです。
日本の価値観の崩壊を食い止めることができるかどうか、これからが正念場かも知れません。 

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況

朝日新聞の記事はご紹介しましたが、こちらは千葉労働局発表の報道資料です。
http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/chiba-roudoukyoku/houdou/houdou333.pdf
重点監督を実施した93事業場のうち、86%に当たる80事業場に何らかの労働基準関係法違反があり、是正勧告書を交付したそうです。

「ブラック企業」やっぱり悪質

今日の朝日新聞夕刊からの引用です。

若者の使い捨てが疑われる「ブラック企業」対策として厚生労働省が9月に実施した集中調査で、対象の8割超の4189事業所で労働法令違反が見つかった。社員の7割を「名ばかり管理職」にして残業代の支払いを免れる、といった違法残業や賃金不払いが多かったという。
厚労省が17日発表した。ハローワークへの相談や投書、離職率の高さなどを手がかりに、法令違反が疑われる5111事業所を労働基準監督官が調査した。
主な違反は、違法残業が2241件(全体の43.8%)、残業代などを払わない「割増賃金違反」が1601件(31.3%)など。違反の疑いが濃い事業所が対象の調査のため、通常の調査よりも、違反率が高い傾向になったという。
業種別では、飲食業や運送業などで、より違反率が高い傾向がみられた。
厚労省は、違反企業には是正を求めた。正社員の7割にあたる係長以上を権限がないのに残業代の出ない「管理監督者」にしていた事業所には、総額120万円を支払うよう求めた。約1年分の基本給の支払いが遅れ、賃金がほとんど未払いになっていた事業所には総額900万円の支払いを求めた。悪質な企業は年明けにも書類送検し、社名を公表する。
厚労省は 当初、4千事業所を調べる予定だったが、9月1日に開設した電話窓口に多くの情報が集まるなどしたため、対象者を増やした。
飲食業や主な 

「労契法」「高年法」改正前後の企業実態調査

公益社団法人全国求人情報協会が、「労働契約法」「高年齢者雇用安定法」改正前後の実態について、人事採用担当者にアンケート調査を実施し、その結果を発表しています。
1. 労契法は8割、高年法は7割の企業が見直しを図るが、具体的対応はまちまち。
2. 労契法は、契約更新の厳格化や抑制ばかりでなく、正社員登用の活用や新設などの対応も進む。
3. 高年法では、全世代の報酬の見直しが進み、新卒や中途採用の抑制は限定的。
以上のような特徴を挙げています。 
http://www.zenkyukyo.or.jp/info/?itm=16

反貧困

湯浅誠さんの著作『反貧困 ―「すべり台社会」からの脱出』から引用しておきます。

先駆けて警告を発する者たち(増加する野宿者やフリーター、非正規労働者のこと)を自己責任で切り捨てているうちに、日本社会には貧困が蔓延してしまった。最近になってようやく、切りつけていたのが、他人ではなく自分の手足だったことが明らかになってきた。野宿者が次々に生み出されるような社会状況を放置しておくと、自分たち自身の生活も苦しくなっていく。労働者の非正規化を放置し続ければ正規労働者自身の立場が危うくなる、と気づき始めた。しかし同時に、今度は「生活保護受給者がもらいすぎている」「給食費を払わない親がいる」と、依然として新たな悪人探し、犯人探しに奔走してもいる。
手近に悪者を仕立て上げて、末端で割り食った者同士が対立し、結果的にはどちらの利益にもならない「底辺への競争」を行う。もうこうした現象はたくさんだ。また同じことを繰り返すのだとしたら、私たちはこの10年でいったい何を学んだのか。 
 
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勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査(勤労者短観)

以前、概要をお知らせした連合総研の第26回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート(勤労者短観)」ですが、詳細な調査報告書が発表されました。
http://rengo-soken.or.jp/report_db/pub/detail.php?uid=250
調査結果のポイントは以下の通りです。

・景気、勤め先の経営状況いずれについても、1 年前と比べて悪化したとの認識が強い。また、失業不安は 依然として高く、賃金にも改善はみられない。
・職場で何らかの違法状態があるとの認識を示したものは3割におよぶ。
・職場で違法状態を経験した場合に行動を起こすと回答したものは44.6%である。
・20 代の4 人に1 人が自分の勤め先を「ブラック企業」だと認識している。
・勤め先を「ブラック企業」だと認識していると、働きがいに影響がある

 

離職者数の公表

昨日の朝日新聞からの引用です。

厚生労働省は2014年度から、大学生や大学院生を採用する企業に、3年以内の「採用者数」「離職者数」の公表を求める。
若者を使い捨てる「ブラック企業」に関心が集まるなか、「離職率」を、就職先選びの判断材料にできるようにするねらいだ。対象は15年春に卒業する、いまの大学3年生から。
企業がハローワークに出す求人票に、学卒で直近3年に採った人数と、そのうちで辞めた人数を書く欄をつくる。
書くかどうかは企業任せだが、離職率の極端に高いブラック企業への若者の関心は強く、「学生は数を書かない企業を敬遠するのでは」(若年者雇用対策室)という。