労働トラブル その1

普通解雇

普通解雇の例

解雇には、普通解雇・懲戒解雇・整理解雇の3種類があります。
ここでは、まず普通解雇を扱います。

Q.突然、「クビだ!」と言われました。従うしかないのでしょうか?
A. 解雇(=クビ)とは、使用者による一方的な労働契約の解約です。労働者の承諾は必要ありません。しかし、無制限に行えるわけではなく、いくつかの大きな制約が課されています。
(1)法令による禁止
労働基準法、男女雇用機会均等法、労働組合法等の法令には、解雇を禁止する規定があります。
(2)解雇権の濫用

高度成長期以降の終身雇用慣行を背景に、最高裁の判例によって確立されたのが「解雇権濫用法理」です。この法理は、平成15年の労働基準法改正によって法 律上明文化されました。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」 というものです。

解雇には、「客観的に合理的な理由」が必要です。その具体例としては、労働者の能力不足・適格性欠如、労務提供不能、労働者の非違行為・企業秩序違反、経営上の必要性(リストラ)等があげられます。

また、「客観的に合理的な理由」があったとしても常に解雇できるというわけではなく、さらに、具体的な事情の下で、解雇することが「社会通念上相当であると認められ」るか、過酷にすぎないかが問われます。


(3)就業規則への解雇事由の記載義務
平成15年の労働基準法改正によって、就業規則に解雇事由を具体的に列挙することが義務づけられました。つまり、会社ごとに「客観的に合理的な理由」に該当するケースをできるかぎり詳細に定めておかねばなりません。記載漏れや不明確な記載等、不適切な就業規則は、トラブルの原因となります。

(4)解雇予告義務
解雇を行う場合には、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことが必要です。ただし、解雇予告の日数は、平均賃金を支払った分だけ短縮することができます。

(5)解雇理由証明書の交付
平成15年の労働基準法改正により、労働者が解雇予告期間中に請求を行った場合、解雇の理由を記載した証明書(解雇理由証明書、モデル様式は「書式集」のページをご覧ください)を速やかに交付しなければならなくなりました。この証明書には、解雇の根拠となった就業規則の条文・事実関係を具体的に記入する必要があります。解雇の「合理的な理由」を判断する場合に、重要な材料となるものです。